秋田です。
今回も将棋の話です。
うんちくです。
最近では藤井聡太7段(令和元年11月現在)の活躍で動画等でも取り上げられたりもしていますので対局の様子を目にすることも多いのではないでしょうか。
対局の映像だと左と右に二人が座っている場面を目にしますが・・・どっちが、どういう理由で左に座っている、右に座っていると思いますか?
今回の記事はそんなふとした疑問などです・・・
・将棋の対局テレビ中継・・・右と左は?
・王さまに迫るのが将棋なのに、王と玉?
・いちばん強い人は? 段位とクラスとランキング(レーティング)
について説明します。
雑学的に知っていたら楽しめるかと思います。
上座と下座、強い人が上座?
ビジネスマナーでも(特に接待の時など)迷ったりすることがあります。
上座は
・入口からいちばん遠いところ
・床の間がある部屋は床の間を背にした場所
となります。
将棋の場合は・・・「くらいの上位者」が上座に座ります。
[char no=”3″ char=”秋田秀一”]厳密には決められていますが・・・
臨機応変に対応するのが日本人の礼儀・礼節・気配りでもあります。[/char]
棋士の席次は基本的には段位と棋士番号によって決まります。
段位が高い棋士が上位、同段位では四段昇段の早い順(同時昇段は成績上位の順)(=プロになった順番)に与えられる棋士番号が小さいほど上位という具合です。中略・・・タイトルを持てば段位を越えて上位になり、タイトルごとに順位が決まっています。
ほかに永世タイトル資格者もタイトルホルダーに次ぐことがあります。【出典:将棋連盟HP】
[char no=”3″ char=”秋田秀一”]でも、師匠と弟子が対決する時には・・・弟子の方が成長して師匠を超えている場合でも・・・
弟子の方が先に入室して下座に座って、師匠に上座へ座ってもらうように配慮するなんてことがあります。[/char]
日本人のいいところですね。
※過去、羽生永世7冠が若手で4冠の時に、名人戦の挑戦者決定リーグ戦の時・・・
中原前名人(この時永世名人の資格取得済み)との対局の時に、先に入室した若き羽生4冠(当時23歳)が上座に座って・・・後から入室した中原前名人が目を丸くしたというエピソードもあります。
※後日、羽生4冠は「4冠タイトルホルダーだったから上座だと思った」と謝罪していらっしゃいます。
将棋の対局テレビ中継・・・右と左は?
ズバリ・・・テレビからみて(私たち視聴者がテレビ中継などを見る場合)は・・・下画像のようになります。
えっ? 本当でしょうか。
テニス、サッカー、バスケなどで(コイントスをするなどして)、ボールをとるか、場所(コート)をとるか、というのを試合前に決めます。
野球などでも先攻と後攻があります。
将棋の場合は・・・先攻が先手番、後攻が後手番という呼び方をします。
これは、一般的には「振り駒(ふりごま)」というコイントスと同じようなもので決めることになります。
タイトル戦などだとタイトルホルダーが振り駒をしますが・・・タイトルホルダーの代わりに記録係が行うのが普通です。
※うんちくとして・・・
[char no=”3″ char=”秋田秀一”]記録係が5枚の「歩」を使って、表が多いか裏が多いかで先手番、後手番を決めますが・・・
特別ゲストとして来賓された首相が振り駒をする、ということもありました。[/char]
先の問いかけに答えます。
結論からいうと・・・
実は・・・テレビ・動画中継などで右側に先手番がくることもあります。
ということは・・・
右側に席次の上位者が来て、さらに上位者が先手番となったら・・・テレビ・動画中継の時は右側の棋士が先手となります。
テレビ解説などの将棋盤と先手・後手の関係は・・・
将棋盤には1~9までと一~九までの数字で駒の位置を示すようになっています。(上図)
この場合に下から上へと攻めるのが・・・先手です。
上側に陣取っているのが・・・後手となります。
駒を動かした時の呼び方は?
先手と後手はわかりますね。
[char no=”3″ char=”秋田秀一”]ですから・・・先手番の○○九段が一つ動かしたら・・・
下図、黒の矢印の時は・・・[/char]
[char no=”3″ char=”秋田秀一”]「先手、2六歩」となります。
その次に後手が赤の矢印で一つ動かしたら・・・
「後手、3四歩」となるわけです。[/char]
王さまに迫るのが将棋なのに、王と玉?
一度でも将棋をしたことのある人なら・・・王と玉の2種類があるというのはご存知かも知れません。
ズバリ・・・王さまは2人はいらないのです。
ナンバーワンは、1人だけ、ということです。
もともとは・・・金、銀、などの「宝もの」の奪いあいが将棋の原点だそうです。
ですから・・・王ではなくて、玉=宝もの、ということで昔の将棋は「玉」が2つだそうです。
それが・・・ある時代から「戦(いくさ)」としての性格を帯びてくるようになります。
ある武将が、「王」を使用して、もう一つが「玉」となったらしいです。
王・・・上位者
玉・・・下位者
[char no=”3″ char=”秋田秀一”]その武将とは・・・ズバリ・・・
豊臣秀吉とのことです。[/char]
ここまできたら・・・もう結論はいいですね。
・下位者が「玉」を使う、ということです。
・対局している時の実際の映像をみたらどちらが上位者で、どちらが下位者かの席次はすぐにわかることになります。
いちばん強い人は? 段位とクラスとランキング(レーティング)
段位というのは落ちません。
一度でも5段から6段に上がれば・・・負けても、ずっと6段です。
7段に上がれば何歳になっても7段です。(もちろん8段、9段と昇段することもできます)
将棋のプロの世界が4段からということは以前の記事でお話しました。
⇒ 将棋界の話
4段になって○勝したら次は5段に昇段といったような細かい規定があります。
ですから・・・長く棋士をやっていると勝利数が積み上がりますから、年月はかかっても昇段できることになります。
もちろんタイトルを獲ることで昇段できる場合もあります。
ということは・・・今現在、いちばん強い人は誰? といった時には「段位」とは違う結果になることは理解できますね。
なぜなら・・・長くやっていると(勝利を積み上げていけば)昇段できますし、段位が落ちることはないからです。
ベテランになってあまり若手に勝てなくなったけど・・・9段の棋士という方もいらっしゃいます。
人間ですから・・・歳をとってくると勝負事は厳しくなります。
ですから・・・今現在の実力がどうだ、という時にランキング=レーティングという数字が使われます。
プロスポーツのランキング、プロ棋士のレーティング
テニス、ゴルフなど世界ランキングが大会ごとに変わります。
世界ランク1位といっても・・・試合で負け続けると・・・特に1回戦とか2回戦で負けると・・・ランキングが落ちます。
これと同じような数字が棋士の場合の「レーティング」というものです。
[char no=”3″ char=”秋田秀一”]投資の世界での「格付け」もレーティングと呼ばれていますが・・・あれと同じようなものだと理解してください。[/char]
いろいろと決まりがありますが・・・たとえば
自分よりも強い人に勝ったら・・・たくさん点数が上がる。
自分より弱い人に負けたら・・・たくさん点数が下がる、というようなものです。
ちなみに・・・令和元年11月3日現在のレーティングは下表のとおりです。
平均的なプロ棋士のレーティングは1500点です。
1位 | 1997 | 渡辺3冠 |
---|---|---|
2位 | 1917 | 豊島名人 |
3位 | 1897 | 広瀬竜王 |
4位 | 1893 | 永瀬2冠 |
5位 | 1893 | 藤井聡太7段 |
6位 | 1844 | 羽生9段 |
7位 | 1825 | 千田7段 |
8位 | 1819 | 木村王位 |
9位 | 1818 | 菅井7段(前王位) |
10位 | 1799 | 久保九段(前王将) |
もちろん、11位以下もあります。
藤井聡太7段のレーティングはある意味では凄いですね。
現時点ではまだ高校生です。(昼間は学校に通っているわけですから・・・)
A級棋士、B級棋士とは・・・J1、J2、J3・・・といった感じかな?
プロ野球で1軍、2軍、3軍という分け方があります。
サッカーでも・・・J1、J2、J3、というリーグ分けがありますね。
J3で勝ち続けて上位になればJ2に昇格できます。(でもJ2で負けが多くなるとJ3に降格しますけど)
J2で上位になれば・・・J1に昇格できます。(でもJ1でも順位が下がると・・・J2に降格することもあります)
[char no=”3″ char=”秋田秀一”]このJ1、J2といったリーグ分けのような仕組みが将棋界にもあります。
それが順位戦というものです。
別名、名人戦ともいいます。[/char]
下図のような仕組みです。
令和元年11月1日現在、藤井聡太7段はC級1組に在籍しています。
いくら強くても、プロになって勝ち続けても・・・1年頑張ってC級2組からC級1組に昇級して、
またC級1組でも1年間頑張ってB級2組に昇級して
次の年、また1年頑張ってB級1組に昇級して・・・
B級1組でも1年間、頑張ってA級に昇級して・・・ついにA級棋士になれたら・・・
A級のリーグ戦で1年間頑張って、優勝したら・・・現役の名人に挑戦できる、ということになる世界です。
ということは・・・
プロ棋士になってずっと勝ち続けてもC級2組を抜けるのに1年・・・といった感じですから・・・
[char no=”3″ char=”秋田秀一”]名人に挑戦できるまでに・・・勝ち続けても5年はかかる、ということです。[/char]
凄い世界ですね。
もちろん勝ったり負けたりしますから・・・A級に在籍し続けるだけでも大変なのです。
・1組から6組まであります。
・ただし、6組のプロ棋士でもずっと勝ち続けたら・・・竜王に挑戦することは可能です。
■ 1組ランキング戦・・・16名(1位、2位、3位、4位、5位は本戦出場)・・・4名降級
■ 2組ランキング戦・・・16名(1位、2位は本戦出場)・・・4名昇級、4名降級
■ 3組ランキング戦・・・16名(1位は本戦出場)・・・4名昇級、4名降級
■ 4組ランキング戦・・・32名(1位は本戦出場)・・・4名昇級、4名降級
■ 5組ランキング戦・・・32名(1位は本戦出場)・・・4名昇級、4名降級
■ 6組ランキング戦・・・62名(1位は本戦出場)・・・4名昇級
順位戦と同様にシビアな世界です。
でも6組でも優勝して、出場した本戦でも勝ち続ければ竜王に挑戦できます。(長い道のりですけど)
※実は・・・この竜王戦にはアマチュアも参加できます。(夢がありますね)
その他のタイトル戦はプロ棋士なりたてでもタイトル奪取は可能!
名人戦(順位戦)を除けば、予選リーグ、決勝リーグというパターンですから・・・
「大番狂わせ」的に新人がタイトル戦に登場することもできます。(現実は厳しいです)
これまでの
■ 最年少タイトル戦の挑戦者は・・・屋敷九段の17歳10ヶ月(当時は屋敷四段)
■ 最年少タイトル獲得は・・・・・・屋敷九段の18歳6カ月(当時は屋敷四段)
ひょっとしたら、藤井聡太7段が記録更新してくれるかも知れません。
まとめ
今回の記事は将棋初心者向けに「うんちく」的な内容をご案内しました。
藤井聡太7段という数十年に一人の成長・活躍をリアルタイムで目にできる自分達はラッキーだと思います。
将棋ファンというよりもラグビーワールドカップの日本開催の時に日本チームの活躍で「にわか」応援団が増えたのと同じように将棋応援団が増えることの一助になれたらありがたいです。
・将棋の上座、先手と後手、王将と玉将・・・知っていて将棋中継をみたら楽しめます。
・将棋界で勝ち上がる、勝ち続けるというのがいかに大変か理解してもらえたら記事作成の甲斐があります。
・スポーツのようにシーズンという概念はありません。一年中楽しめます。
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ここまで本当にありがとうございました。
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